熊本県を中心に発生している地震は、現段階では阪神淡路大震災と同レベルと報道されています。

まだ続いていますので、今後の推移を見守るとともに、最大限の対策を求めることは言うまでもありません。

今のタイミングで注視するのは、クライシスマネジメント(非常事態対応)です。

現在起きているような災害や震災は、リスクマネジメント(危険性排除)も重要ですが、それよりも、非常事態が発生したあとに、いかに適切な対応が取れるかが求められます。これがクライシスマネジメントです。

実は、スポーツ事故においても、安全管理能力はリスクマネジメントとクライシスマネジメントの両能力があり、ケースバイケースでその重要度が異なります。

例えば、スポーツ事故の多くは、いかに危険性(リスク)を除去して事故を未然に防ぐかという能力がより重要になります。このリスクを予見することを、以前に私は「予見能」と言って、今後の事故対策でスポーツ指導者等が高めなければならない能力であると主張しました。

一方、スポーツ事故のうち、落雷、熱中症、天候急変などによる野外活動事故は、これまで、危険性が予見できなかったと主張する事案が多かったのですが、最近は、裁判によって多くが予見可能であったとして、指導者や大会運営者の責任が認定されています。特に、サッカー試合での落雷事故は、最高裁で3億円を超える損害賠償金が認められています。今回のような地震等による災害とは異なり、十分危険性が予見できるのです。

なお、スポーツの事故発生についても、救命救急等のクライシスマネジメントが重要であることは言うまでもありません。スポーツ関係者は、山、海、川等で事故が起こった場合のクライシスマネジメントを考えながら、今回の動向を見守ってほしいと思います。

また、今回の熊本地震の救助は、阪神淡路大震災や東日本大震災のクライシスマネジメントの教訓が最大限に活かされることを信じたいとと思います。