2020年東京五輪の招致をめぐる資金不正疑惑で、JOC調査チームの調査結果を聞きました。
 まだ、手元に報告書がないので、早川座長の会見を聞いて印象だけで書きました。

 一言でいえば、「予想どおり」あるいは「新たな成果は無し」の印象です。

 まずは、タン氏、ディアク氏、パパマッサタ氏に聞き取りを試みましたができませんでした。また、フランス検察当局からも当然ながら聞けませんでしたが、国内の関係者中心に30名以上からは、聞き取りができました。(当然でしょう!)
 
 結論は、国内関係者の誰もが、違法性(贈収賄)の認識は、まったくありませんでした。もちろん、IOCの定める倫理規定にも抵触していませんでした。(当たり前でしょう!)
 
 しかし、招致コンサルのタン氏からは成功報酬を求められ、招致決定後には1億数千万円を別途支払うことを、事務局長が会長にも報告せずに単独で取り仕切ったことは、不適切であったとしています。
 それも、個人が不適切であったというより、組織体制の権限があいまいだったと聞こえました。(どこかで聞きましたね。舛添前知事の「違法ではないが、不適切」と同じです)

 座長を務めた早川氏は、報告の冒頭、わざわざ、私たちはJOCと距離をおいて独立の立場から調査したとの説明に時間をかけていたことも印象的でした。(説明が弁解に聞こえます)

 また、タン氏が、東京都からの振込金を使い、約1600万円分の高級時計を購入して、パパマッサタ氏に送ったとの疑惑に対して、時計購入より振り込みが後日なので、時系列が違いますから振込金が使われたことになりませんとの説明も笑えました。(お金に色が付いていますか?)

 今回の招致疑惑の影響について、2点ご紹介しましょう。

 2024年のオリンピック招致は、すでに始まっており、パリ、ロサンゼルス、ローマ、ブタペストが立候補を希望していましたが、最近、ローマ市で当選した女性市長は、「五輪招致には、膨大な予算が必要なので招致に反対します」を掲げて当選したのです。

 また、IOCは、2024年招致合戦から、招致コンサルの経費をIOCに報告させることを決めました。

 いずれも、東京招致の不正疑惑の報道が、少なからず影響したことだけは確かです。

 私は、IOCに大きな問題があると思っています。
 たった100名程のIOC委員の無記名投票で、開催都市を決める選挙方式を取っている以上、この金銭問題はなくならないでしょう。

 なぜなら、IOC委員は、国を代表せず、個人の資格で投票するのですから、自分の思惑が働くのは、人間として当然です。

 IOCは、ソルトレークで最悪となった買収合戦を改革し、立候補都市へのIOC訪問を禁止する代わりに、「IOC評価委員会」を作り、立候補都市の現場視察を踏まえた評価表を作成しました。
 それを投票の参考にするように仕向けていましたが、ほとんど意味をなしていません。ちなみに、招致段階で、今年のリオより東京とシカゴのほうが評価点はよかったのですが、結果はシカゴ、東京の順で落選しました。何のための評価だったのでしょう。
 少なくとも、評価点を投票数に加算をして、個人票と合わせて合否を決めれば、個人票の争奪戦は少しは収まるのではないでしょうか。

 報告書が手に入ったら、またご報告します。