補助具(車いす、義足)の研究開発が進み、器具の差が勝負を分ける競技も増えてきました。

 ちなみに、世界のトップを守り続けてきた「車椅子テニス」の国枝選手は準々決勝で敗退しましたが、その優勝選手が使用した車いすの値段は、カーボン製で約1500万円であり、国枝選手の車いすはアルミ製で約40万円だそうです。

 一方、義足についても、走り幅跳びのレーム選手が、オリンピック記録(8m40cm)と同格であるとして、オリンピックへの出場を懇願しましたが、国際陸上競技連盟(IAAF)は、義足の効果が証明されないとして認めませんでした。

 IPCは、すでに、義足や車いすの競技用基準作りの検討を始めていますが、東京パラリンピックに向けて、補助具の開発合戦が始まることは避けられません。

 なお、ロンドン・パラリンピックでは、テニスのラケットを自分で握れない選手が「電動車いす」に乗ってテニス試合に出場しましたが、今後のパラリンピックが急速にメダル合戦へ傾斜すれば、このような光景は見られなくなると思います。

 すでに、障がい者スポーツは、「ハンディキャップ・スポーツ」という言葉は使わず、「アダプテッド・スポーツ」として普及しています。

 この「ハンディキャップ」とは、ゴルフのようにスポーツルールに競技者の条件を合わせるという考え方です。一方、「アダプテッド」とは、競技者にルールを合わせるという考えであり、元来の障がい者スポーツの基本概念です。

 前回(その1)に紹介したように、パラリンピック・ムーブメントの究極の目標は、「パラスポーツを通じて障がい者にとってインクルーシブな社会を創造する」とIPCは掲げています。

 「インクルーブ」とは、排除しない、排他的にならない、という意味です。
 日本は、東京パラリンピックに向けて、インクルーシブな社会の創造に向けた、競技ルール作りについて、IPCに提言できるでしょうか。期待したいと思いますが・・・・