10月18日、バッハ会長は小池都知事と会談した際に、小池知事の「復興五輪」発言に戸惑いを見せましたが、安倍総理と面会した時には、バッハ会長自ら、複数種目を被災地で開催することを提案しました。
 おそらく、総理との面会前に、組織委員会側からバッハ会長に、すでに内定している「野球」と「ソフトボール」の2種目(1競技)の予選1試合を福島県で開催することの提案について、進言したのだと思います。

 いうまでもなく、「複数種目」とは野球とソフトの2種目であり、複数競技ではありません
 ということは、ボート・カヌー競技場を宮城県長沼に変更することは、IOCとして認めないという意味だと思います。

 なお、その後に、組織委とIOCは、バスケットボールやバレーボールの1次リーグを復興地での開催を検討すると言い出しました。
 それにIFの反発も考えられますが、それ以上に、いくら既存施設といえども、五輪仕様に施設設備を整備するには相応の経費が掛かります。

 野球・ソフトボールについても、1試合だけだとしても、五輪仕様にするためには整備費が相当に必要になります。
せっかく整備するなら、1試合といわず、1次リーグ戦の全試合を実施すべきではないですか。
 もっと、しっかりとした企画を検討したうえで、提案すべきです。

 さて、小池知事が改めて、「復興五輪」を2020年大会のテーマにするのであれば、「復興」と「五輪」の間に、接続語をはさんで説明してほしいと思います。
 「復興(に貢献する)五輪」、「復興(支援に感謝する)五輪」、「復興(の証しを示す)五輪」ですか、あるいは、別の接続語ですか?
 「復興五輪」のテーマをはっきりとして、国民・都民に説明すべきではないでしょうか。
 
 また、「復興五輪」は東日本大震災だけではありません。
 すでに、熊本県知事が熊本災害にもご協力いただきたい旨の申し入れがありました。
 これからの4年間にも新たな災害が起こらないと言えません。
 すべての災害復興を対象にしたメッセージにしてほしいと思います。

 なお、すでに、東北被災地にキャンプ地の誘致支援や、聖火リレーの東北シフトなど、国内調整で出来ることは計画されています。
 加えて、先日、組織委の森会長は、被災地をくまなく通過する聖火リレーを計画するために、IOCの規定である「コースの一筆書き」と「100日以内」を緩和してほしい旨のお願いすることを明らかにしています。

 招致段階のビジョンだった「未来をつかむ(Discover Tomorrow)」は、いまや国民の記憶にもありません。
 災害は世界で多発しています。その主因の一つが「地球温暖化」にあるとすれば、リオ五輪の開閉会式のテーマ(8月25日の「リオ五輪の開閉会式のテーマは環境」をご覧ください)のように、世界に向けて、災害復興五輪を発信してほしいと、私は思います。