非公開で始めた「4者協議」において、IOC側のデュビ統括部長が、大会組織委員会から提出された予算計画案(輸送や警備、エネルギーなどの分野別)に、あまりに高額すぎるとして再検討するよう要請していたことがわかりました。
 特に、仮設の競技会場の施設整備費については、資材単価が高額で、仕様も過大と指摘され、国際入札の導入も指導されたといいます。

 組織委は、なぜそのような予算計画案を、もっと早く都民・国民に公表しなかったのか、極めて遺憾です。

 五輪経費については、昨年7月に森会長が、東京五輪は2兆円かかると総額だけを言い放ち、11月には、舛添前都知事がロンドンで3兆円かかるかもしれないと報道関係者の前で放言した時も、組織委と東京都は内訳の概算をまったく説明しませんでした。

 昨年11月に、NHKが運営費だけで1.8兆円かかると報道(組織委がNHKにリーク)した時も、組織委の武藤事務総長は、間髪入れず、内訳は精査中であるとして総額は未定としていたのです。

 その経緯を見て、小池都知事が選挙中に「2兆、3兆と豆腐屋じゃあるまいし」と批判し、小池知事のもと都政改革を進める上山特別顧問からは、このまま組織委に任せていれば、3兆円を超す危険性があると指摘しました。

 そのうえで、象徴的に競技施設整備費(特に3施設)をあげて、これこそが3兆円に高騰する主因のように都民・国民に印象付けました。これは、上山顧問の戦略だったのでしょう。

 しかし、鈍感な組織委は、都民・国民に情報開示することなく、「4者協議」に、高額な予算計画書案を提出して、IOCから批判を浴びているのです。極めて遺憾だといわざるを得ません。

 これだけIOCから指摘されておきながら、都側がコスト削減を求め施設整備の見直しをIOCに提案したことに反発し、森会長が、「これまでに私が全部やっている。2千億円ほど縮減した。今までの約束事をご存じない方が、ガチャッと壊したようなもの」と小池氏と上山氏を批判し、怒りを露わにしていたけれど、全く反撃になっていません。

 あの2千億円は、アジェンダ2020に基づき、千葉、埼玉、神奈川、静岡各県の既存施設に会場を移した見直しであり、個別の競技施設の規模や建設費を見直したものではないからです。

 現状を見ていると、都政改革もさることながら、組織委も、組織内部を大改革すべきでしょう。
 森会長を引っ込めて、政治家の遠藤前オリパラ担当大臣に代行させても、都民・国民の不信感は変わりません。
 それよりも早急な対応は、組織委のスポークスパーソン(存在感無し)が、毎週定期的に記者会見をして、情報開示することです。