12月21日に、IOC、東京都、組織委員会、政府によるトップ級会合が開かれ、有明アリーナの建設決定と、五輪開催経費が1兆6千億~1兆8千億円まで膨らんだことが報告されました。

 また、注目されていた、国、東京都、組織委の経費分担に関する議論は、1月に話し合うことで決まりましたが、その際に、競技会場の活用を依頼している他の自治体に対する費用負担については、小池都知事から、注目すべき発言がありました。

 小池知事は、他の自治体に対して「いわば『準開催都市』として、大会に携わっていただく」と強調し、翌日の記者会見でも「関係自治体は準開催都市とお呼びしたい」と発言しました。

 これまで言われていた、開催施設、開催地、開催自治体といわず、「準開催都市」と位置付けた発言は偶然ではなく、意識的・計画的に発しました。その理由は、2つあると思います。

 ひとつは、他の自治体の皆さんも、東京と同じ開催都市なのだから、主体的に応分の負担をしてもらいたいという意図です。

 もう一つは、同じ開催都市を担っているのだから、地方財政の規律を定める「地方財政法」に反することから、東京都が財政支援できないという意図です。

 そのため、小池知事は、「都民から預かった都税そのものを他のこと(自治体)に使うことは法律的にはかなりハードルが高い」といったわけです。

【参考】「地方財政法」
(地方公共団体相互間における経費の負担関係)
第28条の二  地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。

 しかし、思い出してください。
 新国立競技場に、東京都が財政負担(400億円以上)することについて、この「地方財政法」の第2条に抵触するとして、議論を巻き起こしました。その時は、JSC法の附則を改訂して、東京都がJSCに出資できるようにしたことを覚えていますか。

 このように、行政法は改正せずとも、解釈等を変えることでクリアできますので、「地方財政法」をもって、東京都が他自治体にお願いした五輪施設の条件整備に経費負担できないというのは、信用しないほうがいいと思います。

 では、仮設と常設の違いについて議論が分かれていますが、その説明は次回にします。