前回(その1)では、招致段階における五輪開催に関する経費負担の前提条件を説明しました。

 しかし、「立候補ファイル」と「開催都市契約」、及び「政府の閣議決定」に定められた前提条件のままでは、都は、国に対して「オールジャパン」を主張して懇願する以外にありません。

 国にしても、立候補ファイルにおいて都は、「非常に大規模な財政規模(2012年度の予算で11.8兆円)を有しており」とIOCに自慢して、都だけの財政負担で十分と約束していたではないかと言いたいのでしょう。

 今になって、都が泣きついてきたので、国費を出資してあげましたとなれば、筋が通らないと国民から異論が出てくるのを恐れているのではないですか。

 そこで、前回に紹介した、立候補ファイルの「大会に関係するセキュリティ、医療、通関、出入国管理その他の政府関連業務を提供する」と約束していることや、閣議決定した「オリパラ基本方針【資料】」の中で、国の役割として定めた、「セキュリティ対策検討・推進体制の確保」「道路輸送インフラの整備」「大会開催時の輸送」「式典等大会運営への協力検討」「被災地と連携した取り組みの検討」等々を拡大解釈して、特に、選手・役員輸送経費、既存会場の利用補償(優先利用補償、漁業補償、道路占用補償)などを含め、国の経費で支援できる運営費はあるのではないですか。

【資料】http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokyo2020_suishin_honbu/pdf/281007torikumi_siryou.pdf

 また、国費以外に、スポーツ振興投票(TOTO)の配当金は、新国立競技場建設費のため、平成25年度から総額55億円を拠出していますが、そのうち国庫納付金は、毎年約20億円を割り当てています。その納付金残高は、まだ約65億円あり国庫に納付されているのです。
 この国庫納付金を、2020まで時限的に、五輪運営費支援として拠出しても国民は納得するのではないですか。

 まだ、都と国、都民・国民が納得する知恵はいくつもあるはずです。
 五輪経費については、オールジャパンで協力する知恵をもっと出してほしいと思います。
 経費負担が、選挙等の政治的駆け引きに利用されることだけは、絶対避けるべきだと強く願います。