東京五輪・パラリンピックのIOC調整委員会の第4回会合が、29日に都内で開かれました。
 都民のみなさんは、都議選等でそれどころではないかもしれませんが、東京五輪・パラリンピックを注視しているものとしては、極めて違和感を覚えます。

 IOCによる、若者向け種目の度重なる追加、各種目の競技時間の短縮、自転車ロードコースや「アーバンクラスター」構想の映像的効果などを、立て続けに押し付けてくるのは、明らかにテレビ視聴率を意識したIOCの露骨な財政戦略であることは明らかです。

 調整委員会に出席していた、IOCの競技部長は「スポーツの世界は変化しており、五輪も進化しなければならない」と発言したようですが、これを五輪の進化と呼ぶのでしょうか。

 開催都市を競い合った「立候補ファイル」の段階では、ほとんど求められていないのに、明らかに経費負担増となる改革案(?)を、散々押し付けておきながら、その一方で、IOCは、大会経費の更なる削減と、オリンピック憲章の根本原則を厳格に遵守するよう求めてくるとは、自己矛盾を引き起こしているといわざるを得ません。

 前回、指摘したように、巨額の放送権を長期契約している米国NBCへの配慮は明白です。今後はさらに、競技時間帯についても、米国のゴールデンタイムに合わせるよう、変更を求めてくることは必定でしょう。

 加えて、IOCの長年のTOPスポンサーだったマクドナルドが撤退して、契約を終了するようです。その理由は、五輪による広告効果が薄れてきたことに起因するといわれています。

 IOCは、貴重な財源の両翼となっている放送権料とTOPスポンサー料が揺らぐことは、何としても防がなければなりません。

 このような、マーケティングに明け暮れて五輪を変質させている今のIOCを、近代オリンピックを創設したクーベルタンが見たら、なんというでしょうね。