先月28日に開催された日本オリンピック委員会(JOC)のコーチ会議において、夏季競技の監督等から、2020年東京五輪に出場する選手の宿泊について、晴海に建設される選手村(オリンピック村)に入村せずに、常時合宿している北区西が丘のナショナルトレーニングセンター(NTC)に宿泊したいという要望が、複数出たといいます。なんという身勝手な主張でしょう。

 このような発言に、JOCはどのように諌めたのでしょうか。

 オリンピック憲章には、「すべての競技者、チーム役員、またその他のチームスタッフが、一か所に集うため、組織委員会(OCOG)はオリンピック村をIOC理事会の定める期間、提供するものとする。」と定められています。

 やむを得ず、開催都市以外に設定される競技会場の場合には、分村を例外として認めていますが、あくまでも、オリンピック選手村は一か所であり、そこでの国際交流を奨励しています。

 また、選手村では、参加する国・地域の選手団が入村するときに、ホスト国である日本が歓迎するセレモニーまで行います。にもかかわらず、ホスト国の日本選手だけは、競技前に万全な生活環境を得たいとして、選手村を利用しないと堂々と主張するとは、メダル獲得のためには手段を択ばず、でしょうか。

 一方、IOCのコーツ調整委員長は、現在の大会運営費を、あと10億ドル(約1100億円)節約したいと組織委員会に要求してきました。
 その一環としてIOCは、世界主要な28カ国・地域のオリンピック委員会に、それぞれ質問書を送付して、満足いく範囲内で選手村のサービス水準をどの程度下げられるかを問い合わせていると報道されています。

 選手村の経費を節減するために、IOCと組織委員会が、できるだけサービスを抑えたいと苦慮しているときに、日本の競技選手だけは、満足な準備環境を別途に求めるというのは、ホスト国のインセンティブだとでも言いたいのでしょうか。まさか、JOCが認めるとは思えませんが・・・