「東京オリンピック・パラリンピック大会」の開催まで、約2年半近くになりました。
 今の準備状況を総点検したところ、まだ多くの懸念が残されたままです。
 その問題の軽重を問わず、順不同で挙げてみました。
 なお、字数短縮のため、パラリンピックを含めて「五輪」あるいは「東京五輪」と記述しています。

「五輪経費の高騰と経費分担の調整」
 組織委、都、国、他県の経費分担について、いまだ調整が続いている。都は、調整が残されている350億円を宝くじの収入に振り返るとか、行政経費への付け替えなどで、都費の負担を減らそうとするなど、最終的な調整が継続中である。

「受動喫煙防止法の制定」
 たばこ煙のない五輪はIOCに厳命されているが、厚労省は「たばこ議員連盟」の抵抗を受けて、いまだに国会審議が出来ない交渉が続いている。一方、都は独自に条例の制定に向けて準備中だが、すでに、WHOからは批判が出ている。

「熱中症等の暑さ対策」
 マラソンなどの野外競技の暑さ対策のために、競技時間の調整や、観戦者の熱中症予防に様々な対策が議論されているが、放送時間の希望と相反する競技も多く、酷暑での競技開催に重大事故の発生が懸念されている。

「選手村での日本の食材を使用不可」
 大会中の食材を賄うために必要な、農産物の安全性を証明する国際認証(グローバルGAM)の取得が遅々として進まなかったが、やっと、東京都が独自の認証制度「東京版GAP」の導入が決まった。しかし、全国的には、手続きが遅れており日本の食材が使えない恐れが残っている。

「築地跡地利用と環状2号線整備が大幅に遅延」
 築地市場を豊洲に移す計画が遅延し、やっと今年10月に決まったが、築地後を大規模駐車場にして、環状2号線の整備計画が大幅に修正せざるを得ない状況となっている。当初の計画を修正中だが時間的余裕が少なく厳しい。

「バリアフリーの施設整備費の増大」
 IOCとIPCの基準に合わせて、「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン」を作成したが、車いす席比率は、五輪会場が0.75%、パラ会場が1~1.2%と厳しく、各競技施設の整備費が大幅に増大する懸念がある。

「アンチ・ドーピング法の制定」
 ロシアのドーピング問題などから、IOCとWADAは日本の法的対策を注目しているが、やっと日本初の「反ドーピング法」が国会に上程されるところまできた。しかし、他国に比べて罰則規定がなことで、五輪対策として奏功するか意見が分かれている。

「建設現場での超過勤務問題の拡大」
 IOCの指導のもと、組織委とILOがパートナーシップに関する覚書を結ぶことに合意していた矢先に、新国立競技場の建設現場で過労自殺があった。東京五輪関係の建設現場すべてに、労働環境の改善が求められ、建設計画の遅延や経費の増加等が懸念される。

「東京五輪施設の後利用
 木材使用の新国立競技場に必要な維持管理費は年24億円と推計されており、そのため、不採算な陸上競技機能を撤去して、PFIのコンセンション方式で民営化しようとしているが、もともと無理な資金計画であり、後利用と管理計画に苦しい議論が続いている。

「晴海選手村の後利用」
 民間の分譲住宅地を五輪期間に借用するスキームで計画中であるが、選手村(約3900戸)を住宅用に改修する経費が500億円と判明し批判が出ている。されに、都有地の払い下げ価格が不当に安いとして、現在、住民訴訟を起こされている。