北朝鮮が平昌五輪に参加する意向を示した狙いは、米韓にくさびを打つため、あるいは、時間稼ぎという報道がほとんどです。その通りでしょうが、もう一つの思惑があります。それは国内事情です。

 実は、昨年12月、日本で開催されたサッカーの「東アジアE-1選手権(日本、中国、韓国、北朝鮮の代表チームによるリーグ戦)」を、北朝鮮がボイコットしなかったことです。

 その際の条件は、国連安保理の制裁決議を踏まえて、北朝鮮チーム(男女とも)だけには、賞金(優勝は、男子で約2880万円、女子で約805万円、2位~4位も賞金がつく条件)を、一切支払わないと事前に北朝鮮へ伝えられていました。

 この屈辱的な条件にも関わらず、北朝鮮は男女とも出場してきたことに、まずびっくりしました。
 それどころか、女子チームは、日本、韓国、中国に3連勝して、なんと優勝したのです。

 そして、北朝鮮では労働新聞が大きく報道し、国内は歓喜に沸いたそうです。
 
 現在、北朝鮮の国民の間には、相当な不満と緊張感が渦巻いているはずです。この鬱屈した国民の感情をガス抜きするために、金正恩総書記がスポーツ利用に味を占めたことは間違いありません。とすれば、平昌五輪に参加させて、暫し国民の関心を逸らそうと考えたとしてもおかしくありません。

 もう一つは、ロシアのドーピング問題に対するIOCの処分結果です。すでに、周知のように、ロシアの多くの選手は、平昌五輪に出場可能となりました。
 その動向を見守っていた北朝鮮は、ロシアから非難を受けるようなテロ行為等はできませんから、平昌五輪を拒否してもあまりメリットはありません。

 北朝鮮が、平昌五輪に参加する意向を示した複数の狙いの軽重はともかく、国内事情とロシア参加への判断が、加わったのだと思います。