日本高野連(公財:日本高等学校野球連盟)の「投手の障害予防に関する有識者会議」が、高野連の主催大会では、投手1人あたり1週間の総投球数を500球以内とし、試合日程は3連戦を避けることを、来春の選抜大会から3年間の試行期間とするように提言しました。

 これまでも甲子園大会の期間中に休養日を設け、現在は、延長13回から無死1、2塁の状態で開始するタイブレーク制を導入してきましたが、やっと投球数の制限に踏み込んだことは一応の成果です。

 しかし、これだけではまだ不十分だと思っています。これまでも、高校野球については、昨年、一昨年と、「高校野球に関する問題」に関する私論として、投球数制限だけでなく、「屋内球場を使う」「試合を7回戦にする」「大会数を減らす」等々についても検討すべきと提言してきました。

 特に、投球数問題については、今夏の「大船渡高校エースを県の決勝戦に投げさせなかった監督への賛否」、今春の「新潟県高野連が、県下では一試合の投球を100球に制限しようとした賛否」、昨夏の「金足農業高校エースが、夏の甲子園大会で881球を投げた賛否」などは、教育界やスポーツ界に問題提起となった喫緊の課題です。

 このような賛否両論を経て、遅きに失した感はありますが、高野連は有識者会議の提言を受けて、近く理事会で決定するところまで来たのです。

 しかし、驚いたことに、萩生田文部科学大臣が、先日の衆院文部科学委員会で、一週間500球の投球制限について問われ、「アスリートファーストの観点で言えば、甲子園での夏の大会は無理だと思う」と答弁し、その理由として「団体競技なので仲間と流した3年間の汗を考えたら、腕がちぎれても最後まで頑張りたいと思う選手もいると思う」と発言したのです。

 耳を疑います。腕がちぎれても頑張らせることが、アスリートファーストだというのです。これが教育行政を司る文科大臣の発言でしょうか。

 高野連は、このような文科大臣の不見識な言質に惑わされることなく、有識者会議の提言を試行し、都道府県高野連に対しても周知徹底を図るべきです。