東京五輪・パラリンピックを、完全な1年後に延期したのは、結果的に賢明な判断でした。

 これまで積み上げてきたスキームを、ほとんど維持できることで、変更作業を少なく抑えることができます。特に、競技日程、会場確保、輸送計画、暑さ対策、ボランティア確保、祝日移動などのシミュレーションを大きく組み立て直さなくて済みます。

 私は、アスリートの立場を重視して6月延期論を第一希望にしましたが、大会の準備作業を第一優先にすれば、確かに、大会日程を同じにする方が合理的だと思います。

 しかし、中断した聖火リレーの再開だけは、変更すべきです。

現在の計画は、国内を一筆書きで121日間かけて、全国くまなく走破する予定ですが、計画どおり、来年の3月25日から福島県を出発するのでしょうか。その頃に、新型コロナの影響が完全に払しょくされて、各地で地元民が沿道応援する中を安全にリレーできると確信が持てますか。

 私は、「第10編」において、3月26日に出発する計画を中断すべきであり、再開する際は、聖火を分火すれば日程を短縮できると提案していました。

 来年の開会式121日前のリレー出発は、考え直すべきと考えます。来年3月近くになって、コロナの影響が残っているので、「沿道応援を控えてほしい」と苦渋のお願いをすることは絶対にないと言えますか。早くから、IOCの理解を得て、コース分割のシミュレーションを全国に提案すべきです。

 IOCは、この程度の内規変更について、今回は理解してくれるはずです。したがって、全国一周コースを4つに聖火を分割し、6月中旬に一斉に出発して全国を30日程度でリレーすれば、各地の沿道応援で完全に盛り上がります。なお、3コースであれば40日程度です。