スポーツ財源「toto」の売上が激減し、「競技力向上費」は枯渇します。

 令和2年度オリンピック・パラリンピック関連の国家予算は、合計約537億円であり、この中の競技力向上費は100億円を超えています。

 さらに、JSC(日本スポーツ振興センター)からは、「スポーツ振興投票(toto)」の売上げによる助成制度として、「スポーツ団体スポーツ活動費」「将来性を有する競技者の発掘及び育成活動費」「大会開催経費」に、毎年約100億円以上が助成されています。

 しかし、国費【スポーツ庁予算4頁参照】は、今年度までの五輪特例処置ですから、次年度は皆無になる予定でした。財務省は五輪の1年延期を受けて、次年度の予算に繰越あるいは再計上するのでしょうか。麻生財務大臣は、「2020年東京オリ・パラ大会推進議員連盟」の会長ですから、来年度も確保すると発言していますが、新型コロナ対策で国家財政の破綻まで懸念されるこの時期に、国民から五輪反対運動が沸騰しかねません。

 一方、JSCの助成は、「スポーツ振興投票」の売上げ財源です。ところが今年は、totoの対象となっている国内Jリーグや海外サッカーの販売が中止になっており、今後の再開の目途は立ちません。いうまでもなく、この助成金も激減どころか、皆無になることも覚悟しなければならないでしょう。

 また、もうひとつのJOC財源である企業からのスポンサー料(各種パートナー等78社)は、1年延長となって資金援助を継続してくれるのでしょうか。すでに、難色を示している企業があると聞きます。

 競技選手の強化事業を保障するJOCは、国費やtoto助成、企業スポンサー料にすがるだけでは、無策と言わざるを得ません。

 そこで、JOCは、五輪選手の活躍を約束に、寄付型の「クラウドファンディング(CF)」を、早く立ち上げるべきです。すでにCFは、財政的に弱小な競技団体や大学スポーツなどでは、当然のように行われています。

 今回JOCが行うCFでは、五輪選手が支援される返礼に、選手直筆のサインを提供して感謝の意を示すなどの取組をすれば、寄付金が増えるだけでなく、選手のモチベーション維持や五輪ムーブメント啓発などの付加価値の高揚も期待できます。

 その上で国は、「ふるさと納税の寄付金控除制度」を1年間限定で、このCFに適用許可すれば、通常の寄付金控除と異なり、住民税からも控除される「特例控除」という制度が適用されます。そうなれば、五輪選手に対する競技力向上費への寄付は、相当に期待できるはずです。

 JOCは、国費やtoto助成、企業スポンサーに懇願するだけでなく、このCF創設と「特別控除」の組み合わせを、あくまでも1年限定という条件で国の許可をとるべきです。ふるさと納税を貴重な財源とする地方自治体や、他のCF活用団体からも、1年限定であれば理解を得られると信じます。