五輪延期にかかる追加経費の協議は、当面休戦へ!

 東京五輪の1年延期で発生する追加経費について、IOCがHPで「日本の安倍首相が、引き続き日本側が負担することで同意した」との見解を示しました。日本側は大慌てになり、コロナで大変な財政危機の時期に、「なんてことを言うのか」と猛抗議をしました。驚いたIOCは、あわてて削除するというドタバタ劇がありました。

 IOC側からみれば、今回の延期要請は、日本の安倍首相のほうからIOCに申し入れがあり、バッハ会長が、それを受け入れた、追加経費の負担は当然、おそらく、HP担当が、その影響を考えずに本音を出したわけです。

 しかし、日本側は、絶対に言及されたくないことです。組織委員会の森会長は、延期が合意した会議の前後に、IOCにも必ず追加経費を求めると、国内向けに懸命に発言をしていたからです。すでに、五輪開催の反対意見が出はじめていて、現段階で3千億円以上ともいわれる追加経費を、日本側だけが負担することで決着したと伝われば、五輪中止や開催反対の意見が、国内で拡大することは火を見るよりも明らかです。

 一方、IOCにも強い危機感があります。確かに、「開催都市契約」によれば、日本側の負担すべき義務が定められていますが、今回のIOCの対応を、次回以降に開催予定のパリ、ロサンゼルス、その先、立候補を考えている都市が見ています。かねてより立候補都市の減少を懸念しているIOCにとって、今回の対応を間違えると、五輪の永続性に危険信号が灯りかねません。

 双方の異なる危機感から、経費負担問題は、いったん休戦にしようと暗黙の了解をしたのでしょう。今のところバッハ会長は、IFやNOCには数百億円の援助経費を配分するとは表明しても、日本側の直接追加経費には言及していません。しばらくは水面下の交渉が続くことになると思います。

 なお、東京都は、2013年の立候補ファイルにおいて、「東京都は、非常に大規模な財政規模(2012年度の予算で11.8兆円)を有しており、万一の大会組織委員会の資金不足に対しても十分に補填することができる。」とアピールして、招致を勝ち取っているのです。IOCは、「今頃になって」とつぶやいているかもしれません。