徹底した映像オリンピックを提案すべき!

 7月の都知事選挙で、五輪中止や開催条件が争点の一つになることは避けられず、都民の五輪意識にどのような影響が出てくるのか注目されます。

 一方、組織委員会は、IOCに示した「ロードマップ」のフェーズとして、サービス水準やその範囲・規模等の再検討を進めていますが、具体的にできることは限られているので、都民を納得させられるような経費の大幅な削減は見込めません。

 思い返せば、近代オリンピックは、クーベルタンが教育を通して平和を訴えるアマチュア競技として立ち上げ、世界から支持されてきました。しかし、1984年のロス五輪から、放送権料を主財源とする「商業オリンピック」に変貌し、今や、その肥大化とビジネス化は極限に達しています。

 その結果、IOCは巨額の放送権料を獲得する一方で、開催都市は、五輪会場での広告活動が厳禁のためスポンサー収入は限定的であり、入場料頼みとなっています。そのため開催都市は、巨大なスタジアムやアリーナを増設せざるを得ず、後世に「負の遺産」を残してきたのです。IOCは、近年、五輪招致都市が激減している問題点がわかっていません。

 今回の新型コロナ危機で延期となった五輪のあり方は、将来のオリンピックを持続可能(サステナブル)な大会にしていけるか、期せずして、モデルチェンジを提案できる絶好の機会を得たのではないでしょうか。

 いまや、テレビ産業は、高精細なBS4K・BS8Kやインターネットなど様々な伝送路を活用できるようになり、バーチャルな立体映像で、現場の臨場感を体現できる時代は目前になっています。

 さらに、IOCは、eスポーツを五輪種目へ採用する検討をしています。パリ大会は見送られましたが、おそらく、ロサンゼルス大会では導入されるでしょう。eスポーツは、まさしくバーチャルそのものです。

 これまでの夏季五輪会場は、巨大会場に、セキュリティチェックで長蛇の列を成し、過酷な環境に過剰なまでの対策を施して、スポーツの観戦現場を提供してきました。そのような観戦時代は終わるべきではないでしょうか。

 また、五輪会場での「広告掲示」は解禁すべきですサッカーなどのWカップは、競技会場内に広告スペースを設置して、相当の広告料収入を得ています。

 五輪会場で同様の収益を得ることをIOCが承認して、開催都市の経費負担を軽減させたとしても、オリンピズム憲章の「オリンピズム」に反することではないはずです。