森会長が辞任しない限り、中止になる!

 今夏の延期五輪が開催できる方法は、「無観客」「選手・役員の隔離」を完全かつ徹底することを、IOCと組織委員会が、真っ先に宣言してから議論すべきと、昨年来言い続けてきました。

 そのうえで、少しでも国民の理解を得るために、もし、劇的にワクチン開発と普及が進み、少しでも観客を入場させることが可能になれば、国内の小中学生を無料で招待すると公言すべきです。

 なお、販売済みの観戦チケット代は、必ず返金すると公約するとともに、小中学生の無料観戦のために「クラウドファンディング」を、JOCと五輪選手団が立上げて、チケットの自主的な寄付も受け付けると公表して欲しいところです。

 「無観客開催」のアピールだけでは、低下する一方の五輪支持率は、歯止めがかかりません。

 ところが、組織委員会の森会長は、この機に及んでも「無観客」だけは避けたいとの思いが発言の端々ににじみ出ていました。しかし、国内外から中止論が高まってきたことで、報道記者に対して「無観客はしたくないが、考えておかなければシミュレーションにならない」と吐き捨てるように答えているのです。これを聞いた時には、さすがに五輪開催は危険水域に達したと思いました。

 そして最後のとどめは、昨日の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性を増やす場合は発言の時間もある程度は規制しないと困る」との発言です。これで延期五輪の開催は不可能に近くなってしまいました。

 IOCが、東京五輪をきっかけに策定した「アジェンダ2020」において、最も重視した改革の一つが「提言11:男女平等を推進する」であり、女性の参加率50%と男女混合団体種目の採用を奨励することだったのです。

 IOCは、オリンピック憲章に反するような森会長の発言に黙っているとは思えません。また、IOCが黙認していれば、IOCも世界のNOCから強い非難が寄せられます。

 もう、森会長を老害だと揶揄している段階ではありません。即刻に辞任を促すべきです。しかし、鈴をつけられる人物は、日本国内に見当たらず、組織委員会内部の幹部はもとより、組織委員会に押さえつけられている今のJOCでは、勇気ある発言は期待できないでしょう。