報道によると、IOCのバッハ会長は、ウクライナ侵攻を続ける「ロシア」の代表選手と、ロシア侵略を支持している「ベラルーシ」に所属する代表選手に対して、「自国を代表しない中立の立場で、ウクライナへの侵攻を支持しない。」と表明すれば、代表選手としての競技参加の許可を検討すると声明したのです。それを聞いたときに私は啞然としました。バッハ会長が主導する今のIOCの危機管理判断は、理解に苦しみます。

 まず、現在のロシア代表選手が国内において、ウクライナ侵攻に反対できますか? もし、プーチン大統領に「ウクライナ侵攻反対」と「パリ五輪参加」を表明したら、途端に逮捕されることは必定です。

 さらに、IOCの決定で、ロシア代表選手を(fromロシアとして)参加できたとしても、柔道やボクシングなどの対人格闘競技はもとより、サッカーやバスケットボールなどの接触競技などでも、ロシアとベラルーシの選手が対戦させられますか? ひとつ間違えればルールや審判では抑えきれない競技場の乱闘に発展する危険性もあります。審判判定を含め、スポーツルールに従った競技の進行が本当に保証できるでしょうか。

 1948年の「ロンドン五輪」では、第二次世界大戦を主動したとして、日本、ドイツ、イタリアの3国は参加できなかった歴史があります。なお、この時にドイツの代表選手だったのが、IOCのバッハ現会長です。その苦渋の判断は十分承知しているはずです。

 現在のロシアにおける「ウクライナ侵攻」は、いまや第二次世界大戦以降の歴史的大戦とも言えます。この戦禍に対しては、IOCが旧ロンドン五輪と同様に、「ロシアの参加拒否を決定すべきである」と、私は主張します。