バドミントン選手の賭博問題に関する報道は、ほぼ終息したようになっています。

しかし、スポーツ界における総括は済んでいません。個人の人格、資質に問題があったとして、協会は当事者だけに厳しい処罰を課し幕引きを図った感が否めません。

その過程で、協会が所属会社に対して、監督責任を詰問(できるかの可否は別にして)したという情報は聞こえてきません。逆に、協会の選手が、会社にご迷惑をおかけしましたという態度が伝わってきます。
そのためというべきか、協会の処罰内容は、所属会社の独自調査だけで判断しています。なぜ、協会自らが聞き取り調査をしないのでしょう。
おそらく、選手を採用しもらっている弱みに起因するのでしょうが、不甲斐ないと思いませんか。

ところで、ビジネス社会においても、偽装問題は数多く報道されていますが、その結末によって、倒産やその危機に陥った企業は少なくありません。その際、偽装が組織ぐるみの場合もありますが、個人や小組織によって勝手に起こされたケースも数多くあります。

そのため、謝罪会見では、企業のトップが報道陣の前で深々と頭を下げ、懸命に釈明しているのは周知の通りです。その原因が、個人の不法行為であったとしても、ご迷惑をお詫びすることに違いはありません。

半面、スポーツ界はどうでしょうか。協会や所属選手がいかに不祥事を起こしたとしても、役員の変更程度で、団体が存続の危機に陥ることは一切ありません。そのためと言っては語弊があるかもしれませんが、釈明会見は、謝罪会見ではなく、個人の追求と迷惑をこうむった協会の弁解ばかりです。事の重大さや危機管理の甘さに、まったく気が付いていないといわざるを得ません。

今回のように、問題ある選手が長くトップに君臨しつづけていた間、外部から摘発されるまで、本当に所属組織では不法行為に気づかなかったのでしょうか。一部の関係者は問題行動を認識していたとの情報も出ていますが、これほどの派手な行為が複数の後輩に及んでいた状況について、まったく内部や身内に通報されてこなかったほうが、私には不思議に感じます。

各競技団体だけでなく、すべてのスポーツ統括団体は、日本の競技力向上を国際的に高めるため、ジュニア期(種目によっては小学生から)から、選択と集中による囲い込みの強化に躍起となっていますが、青少年の教育も兼ねていることをもう一度見直すべきです。

そういえば、あれほどの暴力問題や助成金不正流用が発覚した全日本柔道連盟の釈明会見では、協会のトップが責任をはっきりさせなかったことで、社会から批判を受けたことがありました。
その全柔連がまとめた「暴力行為根絶宣言」の冒頭文には「極めて残念なことであるが、女子ナショナルチームにおいて指導者による暴力事件が発覚した」とまるで他人事のように書かれており、当事者意識が極めて薄いことを曝け出していました。

スポーツ界のガバナンスやコンプライアンス(法令遵守)に関する検証は、巨人軍の賭博問題を含めてあまりに多く、問題提起に事欠きません。今後も問いかけていきます。