ドーピングは、近代オリンピックの最大脅威として、100年以上蔓延ってきました。

今回、ロシアの国ぐるみドーピング逃れが発覚したことを受け、WADAが組織的ドーピング隠しを撲滅すべく、ロシア選手団のリオ五輪出場禁止をIOCに提言したにもかかわらず、IOCは大国ロシアを厳罰に処することができませんでした。

この結果、組織ぐるみの犯罪的行為を壊滅する千載一遇のチャンスを、みすみす逃すことになりました。極めて遺憾と言わざるを得ません。

潔白な選手の個人的参加権利を救済するために、IOCバッハ会長としては、苦渋の選択だったと言いたいのでしょうが、一方で、組織ぐるみのドーピング隠しは、厳罰が待っていることを、世界のスポーツ界に示す絶好のチャンスを逸したことになります。

IOCは、このように寛容な処置をやるなら、なぜ、将来のために次のような前提条件を付けなかったのでしょう。

① ロシアの政府、オリンピック委員会、ドーピング検査機関は、WADAが今回の疑惑解明を継続的に調査することを保証する。

② 今回、出場できたロシア選手のうち、継続調査によって「すり抜け」などの不正が発覚した場合は、すべての五輪記録を抹消し五輪から追放する。

③ 今後は、組織ぐるみのドーピングが発覚した場合、いかなる理由があろうと、すべての組織構成員は失格になると、世界に宣言する。

少なくとも、以上の条件を課したうえで、今回のリオ参加を認めるべきだったと思います。