東京大会に続く、2024年の夏季五輪に立候補を予定していたブダペスト(ハンガリー)が、招致を断念する見通しであることをAP通信が伝えています。

 IOCは、今月3日に、3都市がすでに最終第3段階の立候補ファイルを提出したと発表しており、今年の9月13日にリマ(ペルー)で開かれるIOC総会で開催地が決まる予定になっていました。この段階での辞退が本当であれば、IOCの危機感は計り知れないでしょうね。

 また、ロサンゼルスについても、トランプ大統領が発令した7カ国からの入国を一時停止する大統領令に対して、IOC本部ではなく、IOCの選手委員会が反対声明を出しました。

 IOC本部は、今のところ直接的な批判を控え、選手委員会だけに言わせているのは、これで、ロサンゼルスまで辞退に追い込まれれば、パリだけになってしまうからです。

 しかし、ロサンゼルスが辞退しなくても、IOC委員からは相当な反発が出ており、このまま、9月の投票に入れば、パリの圧勝に終わるでしょう。その傾向を予想して早々にロサンゼルスも撤退を表明する可能性は十分あります。

 さらに、パリもこの先に住民から反対運動が起こることもないとは言えないでしょう。

 危機感を強めているIOCは、9月の総会で、次点になるだろうロサンゼルスを、2028年夏季大会の開催都市に決めることまで検討しているといわれていますが、本当に2都市までが辞退に至るようなことになれば、IOCはどうするのでしょう。

 その背景に、米国や欧州等の反ブローバル化という側面はありますが、これまでに、ボストン、ハンブルク、ローマに続きブタペストまで撤退したことの最大の理由は経費問題であり、IOCは、「アジェンダ2020」の改革が、奏功しなかったと反省すべきだろう。

 「アジェンダ2020」は、既存の施設活用を勧め、経費削減を図ろうとしましたが、東京大会のゴタゴタを見ていれば、輸送費や警備費、選手村分村費などが相当に加算され、逆に増加することがわかりました。さらに、IOCが開催都市による追加種目を容認したことも肥大化につながりました。

 リオデジャネイロのように、簡易な仮設で場所のコンパクトを押し通した方が良かったのではという意見が生まれつつあります。(レガシー等の問題はありますが・・)

 さらに、東京大会の開催総経費(1兆8千億円)の想定がこのままで終わらないことは、関係者には十分わかっているはずです。

 東京の準備状況が世界に知れ渡り、招致都市の住民による反対運動につながっているとしたら、IOCと東京都は、今後どのように軌道修正すればいいのでしょうか。