東日本大震災の発生から6年が経ち、これまでの復興への評価は様々あります。
 
 そのなかで、2020年東京大会の五輪旗とパラリンピック旗を披露する「フラッグツアー」が、すでに、福島、宮城、岩手各県から実施されています。

 また、「聖火リレー」は、東日本の被災地に加え、昨年の被災地である熊本、鳥取も巡回する案を組織委員会が検討しているところです。

 確かに、「フラッグツアー」や「聖火リレー」は、被災地の人々に歓迎されるでしょう。国内だけのイベントですから、積極的に実施すべきことは言うまでもありません。

 さらに、「野球・ソフトボール」の1試合だけでも福島県で実施することや、キャンプ地の誘致を支援することもいいでしょう。

 しかし、この時期に合わせて、複数の報道機関が、岩手、宮城、福島3県の市町村長にアンケート調査をしていますが、その結果をみて驚きました。
 朝日新聞の調査によれば、「2020年の東京五輪について、東日本大震災で大きく被災した岩手、宮城、福島3県の42市町村の首長の約6割が、復旧・復興にマイナスの影響を与える」と回答し、その理由を「資材や人手の不足による復旧・復興工事の停滞への懸念が広がっている」と紹介しています。

 一方、東北地方の食品を、輸入禁止や条件付き輸入にしている海外の国や地域は、徐々に少なくなっているものの、いまだに複数の国や地域が一切の輸入を禁止しており、原発事故での汚染を疑っていることは、周知のところです。

 したがって、海外に向けて、東北地方の食材・食品の安全・安心をもっと発信し続けて、外国の禁輸解除や制限解除に、国をあげて全力で取り組むことが最優先課題ではないですか。

 その上で、オリンピック・パラリンピック選手村では、「おもてなし」として、東北の食材を主役にした日本食を提供することができるようにしていくことが、本当の「復興五輪」ではないでしょうか。

 加えて、東日本大震災の復旧に際して、海外からの多種多様な支援をいただいたことについては、オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式のイベントにおいて、世界の人々に深い感謝の意を表明すべきです。(以前に、このブログで主張しています)

 なお、いまだに、宮城県長沼に「ボート・カヌー競技場」を移転させられなかったことを、「復興五輪」の失敗であると主張している人がいますが、それは違います。
 五輪開催までは、確かに地元の人々は感激し喜ぶでしょう。しかし、長野冬季オリンピックでの「ボブスレー・リュージュ競技場」を見てください。
 五輪後はほとんど使われず負のレガシーの代表例になりました。20年後の今でも、長野市が毎年1億2千万円の維持管理費を負担し続けているのです。
 その同じ轍を踏むのですか。「ボート・カヌー競技場」も五輪後の後利用は惨憺たるもので、持ち主になるといわれていた登米市は、毎年億単位の負債を持ち込むことになるところでした。

 「復興五輪」を2020年東京大会の最大テーマにするのでならば、国内イベントを寄せ集めるだけでなく、世界に対して、「創造的復興」を成し遂げた日本の真の姿を見せて、世界に感謝を発信することではないでしょうか。
 そのためには、創造的復興のステップアップに、五輪大会がいかに貢献できるかについて、それこそ、オールジャパンで、効果的な対策をもっと検討してほしいと思います。