日刊スポーツによると「新国立競技場の後利用問題で政府与党などは、大会後に球技専用に変更し、陸上の国際大会ができる競技場を東京都内の他の場所に整備する方向で調整する」と関係者が説明したようです。

 すでに、新国立競技場の整備については、建設計画の段階から、陸上の補助競技場を仮設にして五輪後に撤収することは、ランニングコースや電光計時等に係る整備費を含め、膨大な無駄遣いになると、私は懸念を示してきました。

 五輪仕様の陸上競技場とするためには、補助競技場の仮設整備費20~30億円(計画時は38億円)に加え、電光掲示等の整備費が撤去含めて5~10億円くらいは必要となります。

 もし五輪後に、陸上競技関係をすべて撤収や使用不能にするなら、五輪・パラリンピックの約1ヶ月だけのために、30億円以上を捨てることになるのです。

 新国立競技場で、五輪の開会式、陸上競技、サッカーの実施を貫くならば、このような後利用問題が起こることは明らかだったはずであり、リオ五輪のように、開会式をサッカー場で行い、陸上競技は専用施設で別にするような計画に、当初から変更すべきだったのです。

 結局、いまになって関係団体(者)が後利用について自己主張しあえば、球技専用に改造する案が勝つことは火を見るより明らかでした。

 そういえば、当初から野球場にするという案も飛び交い、その綱引きをありました。しかし、解決を先送りにして、現在に至っていることが最悪の結果を招いたといえます。

 週刊ダイヤモンド(大根田康介氏)によれば、ある団体が、「約130億円で普通車500台が入る地下駐車場付き常設サブトラができる。」など様々な案を紹介していますが、そんな工夫には一顧だにしないで、推し進める政治がらみの結論に、国民が非難されることを期待します。

 さらに、この新国立競技場の整備費には、東京都も400億円以上の都費を出資することが決まっているのに、小池都知事をはじめ都側は、今のところまったく言及していません。もとより、私は400億円もの負担にも反対してきましたが、この無駄遣いに都費が使われることに都側が無関心だとすれば、極めて遺憾です。

 その上、第一種陸上競技場は、代替え案として、都施設である「味の素スタジアム」か「駒沢オリンピック公園陸上競技場」を改修すればよいといっているようですが、そんなこと東京都が簡単に認めるとは思えません。

 駒沢は、旧基準(8レーン)であり、かつ、補助競技場が取れず完全に無理であり、味スタは指定管理で維持経費が厳しいために、陸上競技機能を東京国体の時だけ一次的に回復しただけで、通常はサッカー場だけにしています。

 この新国立競技場の後利用問題については、今後の進捗を注視していきたいと思います。