今日8月6日は、いうまでもなく広島原爆の日であり、9日は長崎原爆の日です。
 そして、2年後の東京五輪・パラリンピックでは、長崎原爆の日が五輪閉会式になります。

 私は、昨年の8月10日付で、「五輪開会式のテーマは核廃絶を!」をすでに書いていますので、ご覧ください。
   http://suzuki-tomoyuki.info/2017/08/10/

 2020年の五輪招致に向けて、真っ先に広島市と長崎市が、「2020年核兵器廃絶宣言」を訴えて立候補を計画しました。結局、諸々の問題点を指摘されて、国内的にも理解を得られず、撤退せざるを得ませんでした。

 だからこそ、2020年東京五輪の開閉会式では、広島・長崎が必死にオリンピックを招致して、核兵器廃絶による世界恒久平和の実現を訴えようとした思いや願いを披歴して、式典のメッセージに組み込んでほしいと願うばかりです。

 組織委員会は、東京五輪・パラリンピックの開閉会式のコンセプトとして4部作をすでに公表し、先月、野村萬斎氏を中心に総合プランニングチームが発表しました。しかし、その中には「核兵器廃絶による平和実現」は、微塵も感じられません。

 昨年も述べたように、前回のリオ五輪では、原爆被害者の鎮魂を開会式に入れて欲しいと希望したところ、IOCが「五輪の政治的利用にあたる可能性がある」との理由で却下したのです。

 では、長野冬季五輪の開会に際して、ノーベル平和賞を受けた「地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)」の参加を歓迎し、当時のサマランチIOC会長が「オリンピック憲章はスポーツを通して平和な世界をつくることに貢献すること。平和な大地を踏みしめながら世界中の大地から地雷がなくなることを願いましょう」と、なぜ、世界に語りかけたのですか。

 地雷禁止は、五輪の政治的利用にならないが、核兵器廃絶は政治的利用だというのでしょうか。理解に苦しみます。解決法や手順に違いはあれども、核兵器廃絶は人類の究極的願いのはずです。組織委員会はIOCを説得すべきです。もし、アメリカの反感を懸念して言及しなかったとしたら、それこそ政治的利用ではないですか。

 いずれにしても、2020年東京オリンピック期間中に、2つの「原爆の日」式典があるのです。核兵器廃絶を、オリンピックを通じて世界に訴えなければ、最大の汚点を残すことになり、国連をはじめ世界から大批判を浴びることは間違いありません。

 組織委員会は、オリンピズムの精神「平和、人権、環境、教育」の発信を忘れないでほしいと願うばかりです。