「近代オリンピック」とは、世界第6位の規模を誇る日本最大の広告代理店である「株式会社電通」が、大会の招致活動、開催準備、開催後処理など、すべての運営段階において、独占1社で主導権を握ってきた「商業イベント」である。といっても過言ではありません。

 特に、1964年(昭和39年)の「東京オリンピック」を、初の「カラーテレビ」で世界中に生配信して、世界に評価された、あのオリンピック大会を成功に導いたのは、まぎれもなく「電通」であり、「2020年東京大会(開催は2021年)」についても、オリンピックの解散権獲得、大会準備、延期開催等に導いた「電通」の果たした役割は、計り知れません。

 しかし、民間企業である「電通」に頼らざるを得なかった行政機関や組織委員会などが、時間に追われていた時期に、経営上、商業上の法規範をすべて監督し、適時に不正を糺す能力を期待することができたでしょうか。おそらく無理だったと思われます。

 「東京地検特捜部」もオリンピック大会の開催直前までに、逮捕に至る贈収賄事案を掴んでいながら、すべての大会日程が終了するまで待ったのです。今後、高橋治之氏の談合問題の解決だけで捜査が終了するのでしょうか? それより、特捜部は高橋氏の贈収賄事件から芋づる的に、摘発するように思われますが、すでに、札幌市は「北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック冬季競技大会」の招致には関わらないとの情報もありますが、「電通」が果たしてきた機能や役割を代行できる官民組織があるのでしょうか、注視する必要がありそうです。

 なお、札幌市はホームページにおいて、クリーンな大会運営に向けて「東京2020大会組織委員会の元理事が逮捕される事案が発覚したことを受け、JOCとともにクリーンな大会に向けた宣言を公表しました。」と苦しい胸の内を公表しています。

 札幌市は、昨年(令和4年4月)、高橋治之氏の逮捕を受けて「クリーン大会宣言」を公表し、「クリーンな大会運営」に向けた「2030年大会の競技運営体制の見直しやガバナンス体制の検討を進める」と公表していますが、札幌市民の反応は、ガバナンス体制の是非ではなく、冬季オリンピック招致の賛否論に戻って揺れ動いています。その後の札幌市は、継続的な市民の意向調査は、すでに終えたとしていますが、もう一度、オリンピック招致の賛否そのものに戻って、道民に問うべきではないでしょうか。