新国立競技場やエンブレムの白紙撤回に至った経緯は、各第三者委員会によって、その問題の原因が明らかにされ、組織委とJSCが批判を受けたことから、この両団体への国民の信頼性が揺らぎました。

その後においても、名誉挽回どころか、新国立競技場の再公募でのA案決定に至る不透明さに加え、聖火台設置問題では、両団体の稚拙な言い争いが露呈するなど、ますます信頼性が下がりました。まさに地に落ちたと言っても過言ではありません。

ですから、今回の神宮球場問題にしても、白紙撤回等の問題とはレベルが異なり、遠藤大臣が漏らした通り「大したことではない」ことに違いはないのですが、国民やマスコミは、「またやったか」という反応となり批判が高まるのです。

あまりにも説明不足です。この両団体の情報発信は、一貫して官僚的であり、慎重な行政手法になっています。今の人材と組織構成からすれば「さもありなん」とは思いますが、このままでは、この両団体が進めようとするこれからのオリンピック準備の動向は、すべて疑心暗鬼に見られてしまいます。

まずは、有能なスポークスマンを配置して、定期的に情報発信をして質疑応答に答えるべきでしょう。まずは、積極的な情報提供により信頼を回復したうえで、今後の取り組みを進めてほしいと思います。

これまでの進捗を見ていると、あの日本は何をもたもたしているのだろうという失笑を世界から買うことが懸念されます。それどころか、すでにオリンピック開催に期待を寄せていた国民の支持率が下がり続けることも深刻に心配しなければなりません。