東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、五輪)開催決定に関する買収疑惑の情報は、ほぼ、出そろいました。これまでの経緯は、私にとって概ね予想通りでした。それほど以外ではありません。
 そこで、なぜこのような不透明なことが起きるのかについて、報道等で指摘されていないことに照準を定めて解説します。
 
◎ 五輪開催地の争奪戦コンサル
 結論から言うと、国際招致活動とは、「海外PR(ロビー)活動」≫「海外コンサルタント」≫「票読み」≫「票の獲得」≫「票の買収」という活動内容が内包しています。

 すなわち、「海外PR活動」をよくロビー活動と言いますが、そこに「海外コンサルタント」が入り込みます。そのコンサル業務には、「票読み」も含まれていて、ここまでは表向きの正当業務といえます。
 
 問題はここからです。票読みコンサルと言いながら、裏で期待するのは「票の獲得」です。そして、票の獲得の手段として「票の買収」が含まれてくるわけです。

 当然ながら、招致委員会は「票読みを依頼している」だけであり、買収など頼んだことはありませんというわけです。
 
 しかし、選挙の票読みだけ(他の業務ができる企業とは思えない)に、2億円以上のコンサル料が必要だったという説明には無理があります。
 特に、招致決定後に、1億3500万円を勝因分析の名目で必要だったという説明は失敗でしょう。

 なにしろ、票読みコンサルには、単価もなければ成果の基準もありません。 
 
 国会でコンサルの成果を求められたとき、竹田JOC会長は「有形無形の成果があった」と言っていますが、無形の成果が中心ですから、詳細な報告書など出せるはずがありません。
 やむおえず、相手方との「守秘義務です」と苦しい弁解になります。

 しかし、竹田会長だけでなく、当時の招致委員会の関係者は、選挙に必要な戦略の一環であり、裏金とか買収だとか批判される意味がわからないというわけです。
 そのため、疑惑に反論する説明としては内容が稚拙すぎます。

 東京都の招致活動報告書によると、招致活動経費は、都税による東京都実施分の35億円と、寄付金や協賛金等による招致委員会の54億円によって行われています。
 招致委員会経費の54億円のうち、海外PR活動は17億4千万円ですが、監査を通らない帳簿上の瑕疵はありません。

 フランス司法当局が調査しているのは、2億円以上の大金が、どのように流れたのかということと、東京都がそのことを認識していたのかということです。

 次回は、IOC委員の110数名を相手にした五輪選挙の問題点を詳解します。