IOCは21日、IAAF(国際陸連)がロシア陸連の資格停止を解除しなかった決定を全面的に支持しました。
 そのうえで、潔白な選手の救済については、ロシアとケニアの陸上競技だけでなく、全競技の選手が国外でドーピング検査を受けることを条件に、8月のリオ五輪に、国の選手代表として参加することを認めることにしました。

 結論的にみれば、IOCは苦渋の選択をしたということでしょう。

 ロシアとケニア選手のリオ五輪への参加条件は、基本的に次の3点となります。

① すでに、北京、ロンドンの2大会に残された検体によって、ドーピング判定を受けた選手は、出場できない。
② ロシアの陸上選手は、国外に拠点を置き、かつ、厳しいドーピング検査体制の下に置かれた選手についてのみ出場を認めるというIAAFの判断を尊重する。
③ ロシアとケニアの全競技選手は、国内の検査体制に問題があるので、すべて、国外の信頼ある検査機関で検査を受けることを条件に出場を認める。

 私が、注視したのは、③の選手への対応です。

 ロシアのドーピング検査において、国内検査機関の作為で、検体のすり替えや廃棄が行われていたことが判明しており、それによって、すり抜けていた陸上競技以外の選手がいるとされています。

 その選手が、私は「シロだ」と主張して、CAS(世界スポーツ仲裁裁判所)に提訴した場合、今から採取した検体では、ドーピングをすり抜けていた証拠は取れません。
 その場合にCACは、疑わしきは罰せずで、IOCが負ける可能性もあります。

 すでに8月までに時間もないことから、これ以上、過去の疑惑を追及できず、疑惑の残っている選手でも、現在の検査で「シロ」と判定された場合、認めざるを得ないという苦渋の判断をしたということでしょう。

 結局、疑惑の残ったままでも、リオ五輪が、第二の五輪ボイコット合戦になることを避けたということでしょうか。