今回のIOC、東京都、国、組織委員会の「4者協議」は、あくまでも作業部会だとして非公開で行うことをIOCが決め、小池知事にも了解を得て、11月1日から始まりました。

 ところが、その最中の11月2日に、上山特別顧問は、外国特派員協会で記者会見を行いました。

 そして、冒頭から、この会見は小池知事からも了解を得ているとして、非公開協議に関する内容にも踏み込んで話すことは、どういう意図でしょうか。

 そのため、IOCは当初、非公開協議のために、終了後も公表しないとしていましたが、上山氏の記者会見を見て、デュビ五輪統括部長が、最終日に、今回は、何かを決めるための協議ではなく、月末の首脳会議に挙げるための作業であると前置きし、競技場の変更問題は結論を出していませんと、くぎを刺して帰りました。

 一方、上山氏は、会見の中で、小池知事の問題提起として「復興五輪」を紹介し、次のように説明しています。

 「(小池知事は)2011年の東北の被災地の復興した姿を世界に示す、あるいは震災のときに受けた支援に対する、世界に対するお礼の場ということでオリンピックを位置付けると。こういう概念であります。」と発言しています。

 これ、おかしいと思いませんか。「支援に対するお礼」だとして、宮城県長沼にボート会場を移すと主張していますが、それを聞いたIOCとIF(国際競技団体)は反対しているのです。お礼をするから会場変更を認めろという主張は、海外のオリンピック関係者に理解されると思いますか。

 お礼をする被災地が喜んで、お礼をされる側が反対している構図が、復興五輪の意義になるのでしょうか。

 それよりも、オリンピックとパラリンピックの開会式や閉会式において、世界の人々を前にして、「復興した日本の姿」と「復興支援への感謝」を込めて、心のこもったメッセージを発信することのほうが需要ではないでしょうか。