先日の内閣改造で、新五輪担当相に鈴木俊一氏が就任した時に、なぜこの人なのだろうと不思議に思いました。しかし、その理由がわかったのです。

 なんと、彼は、「自民党たばこ特別委員長」を務め、自民党案をまとめる実務者の1人でした。
 その上、JT(日本たばこ産業)等から6年間で125万円の献金(パーティー券購入を含まず)を受けていました。
 このような、たばこ利権の享受者を、よりによって五輪担当相に抜擢したということは、政府の思惑がみえみえです。

 IOCとWHOが「たばこのない五輪」を推進して久しく、これまでのすべての五輪都市において、屋内の完全禁煙を実施してきたのに、なんと東京大会で、その流れが途切れることになれば、世界からひんしゅくを買うだけでなく、避難が殺到することは火を見るよりも明らかです。

 わざわざ、今年の4月にはWHOの責任者が来日し、政府に対して屋内の完全禁煙実施を求めたことをどのようにとらえているのか。五輪担当相の人事を見れば、無視をしているとしか思えません。

 そして、組織委員会、JOC、東京都は、なぜ、IOCとWHOが求める「室内完全禁煙」を、国に対して強力に申し入れないのか。特に、組織委員会とJOCは、強く抗議してしかるべきではないですか。

 こうなれば、不十分なれども厚生労働省案と東京都の条例制定に期待する以外はありません。

 小池都知事は、すでに受動喫煙防止条例を検討するとしていますが、埼玉県、千葉県、神奈川県など、競技会場を引き受けている他県でも、都条例と合わせて県条例を制定して、政府にプレッシャーをかけることを期待します。

 なお、今年の4月12日に記述した私論もご一読ください。
  「日本の受動喫煙防止は世界最低!」