報道によれば、ついに、ヨーロッパのフランス、オーストリア、ドイツが、来年2月に開催される平昌冬季五輪・パラリンピックへの参加を辞退する可能性を示唆したもようです。懸念していた事態が現実になってきました。

 すでに、観戦チケットのオンライン販売は始まったものの、国内の売れ行きが芳しくないと平昌組織委員会も認めており、国内外の関心度が高まっていません。
 
 しかし、この期に及んでも、IOCは「我々の立場は変わっていない。(代替開催など)プランBはない。大会準備も順調だ」と述べています。

 また、IPC会長も「大会組織委員会や韓国当局、IOCと状況を注意深く見守っている。ミサイル問題が平昌パラリンピックに与える影響について、現時点で深刻な懸念は抱いていない」と、国連総会の前には述べていました。

 しかしすでに、北米アイスホッケーリーグ(NHL)が不参加を表明していることを前回に紹介しましたが、その時は、プロ選手の五輪への参加意欲が高くないために、北朝鮮問題を言い訳にして、プロ選手の不参加が続く危険性が高いと書きました。

 今回は、先日の国連総会における北朝鮮問題の非難合戦を踏まえて、欧州諸国が、言い訳ではなく、自国民に危険が及ぶとの切迫した理由で、国として不参加の可能性を示唆したのです。極めて憂慮すべき事態になりました。

 周知のことと思いますが、1988年に開催された「ソウル五輪」の前年、1987年11月29日に起こった「大韓航空機爆破事件」は、ソウル五輪を妨害するために、当時の北朝鮮工作員が起こした事件の疑いが濃厚といわれています。

 その事件が、欧米諸国に影を落としていることも確かです。当時に比べて、現在の朝鮮情勢は、より厳しいと見ている五輪強豪国の辞退がこれからも続くのではないか懸念されます。

 このような事態に、IOCとIPCは、どのようなメッセージおよび対策を出すのでしょうか。
 オリンピック開催に当たっては、平和五輪の趣旨をもって、1993年から「五輪休戦」の決議を国連で採択してきました。

 今回も、韓国が国連に、五輪休戦決議案(五輪の開幕7日前から閉幕7日後まで)を、すでに提出済みであり、11月の総会で採決される予定です。

 これで、IOCバッハ会長と韓国文大統領は、安全が保障されるだろうと楽観しているようですが、今回ばかりは、欧州諸国を中心に、簡単には辞退ドミノを止めることが出来ないのではないかと懸念しています。

 このような事態のまま、来年2月に平昌五輪・パラリンピックを強行したら、海外から選手どころか来韓者も減少して、近代五輪史上、最低レベルかつ巨大な負債が残る大会になりかねません。

 3年を切った2020年東京大会も、対岸の火事ではありません。あと2年半以内に、北朝鮮問題がどのような事態になり推移するのか、注視していなければならないと思います。