今日7月24日は、2年後の東京オリンピック開会式の日です。現在、競技施設の建設経緯は順調に推移して、機運の盛り上げも奏功しているようです。

 この夏は、酷暑に見舞われている日本列島の暑さ問題に集中していますが、暑さ対策以外に、現段階で注視しなければならない懸案事項は数多くあります。本日はその検証をしてみたいと思います。
 
 まず、最も懸念していた受動喫煙防止対策は、東京都が国の法制化を待ちきれず、先行して条例化しました。従業員がいる店は原則禁煙とし、都内店舗の84%が規制対象となり、従業員がいない例外対象16%になります。
 しかし、国は、たばこ議員連盟の抵抗を受け、やっと健康増進法の改正を成立させました。内容は酷いものです。店舗の規模で対象を分けて結果的に規制対象になったのは45%に止まりました。情けないの一言に尽きます。これでは、過去最悪の防止規制となり、WHOの批判はもとより世界から笑いものになります。
 さらに、この規制の厳守に向けた支援策や店舗点検など、多くの課題はまさにこれからです。今後のさらなる対策を見守る以外にありません。

 次に、ドーピング防止の法制化です。日本でもやっと「ドーピング防止活動推進法」が成立しました。
 しかし、刑事罰の導入が見送られたことは大変残念です(日本の「罪刑法定主義」や「部分社会の法理」が影響しているため?)。
 世界のスポーツ先進諸国は、刑事罰の適用によって、選手のコーチをはじめ様々な犯罪関係者を逮捕することができますが、日本では選手の出場停止処分のみで、選手以外のドーピング仕掛け人を、国内法である覚せい剤や麻薬の取締法に抵触していなければ逮捕できません。危険な首謀者は、おそらく、ほくそ笑んでいることでしょう。
 
 次は、大会総経費の問題です。初期の段階で、2兆、3兆とお豆腐じゃあるまいしと揶揄された五輪経費は、今のところ1兆3500億円で落ち着いています。しかし、この中には予備費を除くとなっています。
 この予備費が曲者なのです。IOCは、世界に五輪経費の縮減をアピールするために、五輪運営の指針「ニューノーム(新基準)」を作るなどして、現在額より、あと1千億円を目途に経費削減を求めています。
 組織委は、すでに何度もIOCに経費削減案を提示してきましたが、まだ目標値に至らず、調整委員長コーツ氏は更なる削減を命じています。
 そうなれば、組織委員会と東京都は、予備費に逃げ込むか、都の行政施策費に移し替えることで、五輪の総経費をわかりにくくする誘惑に駆られます。五輪・パラリンピック終了後に、実は予備費、関係都費を含めて2兆円かかりましたと公表されても後の祭りです。途中での定期的な情報開示を求めるべきではないですか。
 特に、公益財団法人である組織委には、公文書管理や情報公開に関する国や都のルールが及びませんので、適時、積極的に途中の情報を開示してもらいたいと思います。

 次は、選手村の食堂で提供する食材です。かねてより福島県はじめ東北の食材を中心に賄うべきと主張してきました。
 それが本当の「復興五輪」の証しになり、いまだに東北食材を禁輸している国々の解除を誘導することにつながります。
 しかし、東京都は国際認証「グローバルGAP」の適用は時間がかかるとして、代わりに都独自の認証を作って、東京産の食材をアピールするといっています。ぜひとも東北食材を中心に選手村の食事を提供してほしいと強く要望します。
 一時期、組織委は食材産地をアピールすることは、アンブッシュマーケティングになるとして、意見をはさんだことがありましたが、IOCが問題ないと回答しています。

 その他、「築地跡地利用と環状2号線の整備」「五輪施設の後利用問題」等々、枚挙に暇がありません。