先週、組織委員会がIOCに東京五輪の日程を提案し、バッハ会長は暑さ対策も含めて評価しました。また、森会長も記者会見で、あとは最善の暑さ対策を尽くすだけとしか言いませんでした。マラソンスタート時間を30分だけ早めておきながら・・・
 あとは、有効な対策が打てるのか極めて懐疑的であり、海外からも批判が出ましたが、それも今思えば想定内だったのでしょう。

 前日まで、微塵も感じさせず、満を持していたように、安倍総理にサマータイム導入を上申したのです。おそらく、バッハ会長には事前に耳打ちしてあったのでしょう。

 そういえば、森会長は、組織委員会の会長に就任した時から、東京五輪ではサマータイム導入を検討すべきと発言していました。

 周知のとおり、日本のサマータイム導入は、戦後、ずっと賛否両論が拮抗し、浮かんでは消えていたテーマです。
 しかし、五輪対策として、サマータイムを軽々に発言すれば、デメリットを懸念する省庁や労働界等から批判を受けるため、まずは、酷暑のこの時期に五輪日程・時間を公表し、五輪は厳しすぎるとの批判を待っていたのでしょう。

 さらに、サマータイム導入を組織委員会が主張することによって、長時間労働を助長するなどの反対意見が強まり、働き方改革の国会決議に影響を与えることは避け無ければなりません。かつ、森会長は「総理の決断、総理の提案、内閣として取り上げてやってほしい」と公言し、安倍総理の英断が際立つ時期にリーダーシップを依頼するなど、慎重にそのタイミングを計っていたのでしょう。

 しかし、2020年の1年だけにサマータイムを導入するぐらいなら、マラソンを現在の朝5時スタートに変えれば問題ないわけで、無理に導入できても、夕方以降に時間をずらしたクライミングや馬術競技をまた変更しなければなりません。
 ですから、恒久的にサマータイムを導入することが大前提です。

 結局は、今回の日程変更と暑さ対策の経緯を振り返ってみれば、五輪競技の暑さ対策に託けて、サマータイム導入を恒久的なレガシーにする絶好の機会に仕立てたということだったんです。