五輪開催の判断は、第二ステージに入りました。

 昨夜、G7首脳が、IOCが17日朝に開催する臨時理事会とIPへの聞き取りが始まる前に、緊急のテレビ会議を開き、東京五輪の開催については、安倍総理が記者会見で「完全な形で実現することで合意を得た。」と話しました。

 この意味は、「中止」と「無観客」はあり得ないということを、IOCに発信したものです。その上で、IOCに対して、マラソン移転のように独断で公表しないよう、先手を打って釘を刺したと考えるのが妥当です。

 また、トランプ大統領が、G7直後に間髪入れず、アメリカでは、集会の自粛等を呼びかけるとともに、コロナ感染拡大が7月か8月ごろまで続く可能性があるとの見方を示しました。

 ということは、今夏に東京が五輪を強行すれば、アメリカの五輪選手は送れない。あるいは出場辞退を止められないというメッセージを仄めかしたことになります。

 これに敏感に反応するのは、莫大な放送権料を支出しているNBCであり、アメリカの選手が出場しない五輪を放送する訳がありません。

 これで、今日と明日で開催するIOCは、臨時理事会とIFとの意見交換を踏まえて、IOCは延期を決断する可能性があると思います。

 それを仄めかすように、コーツ氏が「判断時期を設けない」と発言しています。おそらく、1年後か2年後に延期することを、IOCが3月中にも宣言する可能性があります。

 宣言を急ぐ理由はもう一つあります。五輪中止や無観客の懸念が、日本の株価押し下げの一因にもなっており、中止ではなく延期であれば、来年での万全な開催を期待して、株価に安ど感が反映されるのではないでしょうか。

 なお、1年後は、「世界陸上(米オレゴン州)」と「世界水泳(福岡市)」が7~8月に予定されており、五輪をぶつけられないという意見がありますが心配いりません。この両大会は、日本の電通が放送権を取得しており、必ず調整に協力してくれるはずです。

 また、IF(国際競技団体)は、IOCから多額な資金を得ているIOCの構成メンバーであり、日程調整等は積極的に協力するはずです。

 さらに、五輪を6月開催にスライドするぐらいなら、NBCと交渉できる可能性もあると思います。

 しかし、2年後まで延期すると決定しようものなら、世界のアスリートから不満や抗議が沸騰することは明らかです。なぜ、1年後開催に努力せず、2年後なのかと・・・

 各国の代表選手は、すでに5割程が内定していますが、2年後では、選手選考を完全にやり直さなければなりません。1年後であれば、現在の内定選手にインセンティブを与えて、一部の加除予選をするなど、各IFが競技特性を踏まえて基準を作れると思います。例えば、日本のマラソン選手の選考方法なども参考になるのではないでしょうか。

 これからは、第三ステージとして、延期時期が争点になりそうです。