「再延期」は皆無であり、意向調査はミスリードを止めよ!

 相変わらず各種マスコミは、国民向けに「東京五輪」の意向を、「開催」「中止」「再延期」の三択で調査し続けています。いつまで、このようなミスリードを続けるのか。極めて遺憾です。

 再度、断言しますが、「再延期」の選択は一切あり得ません。

 まず、2022年にあと1年の延期を主張する向きがありますが、昨年に1年延期した時のことを思い出してください。今年、福岡県で開催予定だった「世界水泳大会」と、アメリカで開催予定だった「世界陸上オレゴン大会」を、無理に1年延期してもらったのであり、五輪がもう1年延期したいので、さらに延期してほしいなんて言えるわけがありません。

 さらに、今回の1年延期に際して、「東京ビッグサイト」や「千葉県幕張メッセ」の予約変更に関しては、数年前から予約していた各種ビッグイベントの開催に大変な迷惑をかけており、もう一年の延期などは両施設とも難色を示すことは必須です。

 また、2024年のパリ五輪大会も準備が滞っているだろうから、先に東京大会を開催できないかと、あまりにも両都市に対して無神経な延期論を主張する向きもありました。

 先日、アメリカのフロリダ州が、東京五輪を引き取って開催しても構わないという法外な提案までされていますが、この発言の意図は、東京五輪が「パリ五輪」の前に横入りすれば、2028年予定の「ロサンゼルス五輪」が2032年に押し出されることになるとの批判を込めて、皮肉を言っただけのことです。

 さらに、ジャーナリストの江川紹子氏が「どうしても五輪開催なら、パリ、ロス後の2032年が現実的」と指摘をしたと報道されていますが、まったく可能性はありません。

 巨大化した近代五輪が、1都市だけで立候補する都市が激減したことに慌てたIOCは、パリ、ロスの両都市の開催を同時に決めたうえで、複数都市どころか、複数国での立候補も可能にするよう、アジェンダを書き換えました。

 そのため、2032年には、インドがすでに立候補の意向をIOCに伝えており、インドネシア、オーストラリアも立候補の意思を持っています。それどころか、再選が決まったバッハ会長には、北朝鮮と韓国の合同立候補を仕掛けた思いも残っています。

 したがって、2032年への再延期をIOCが自動的に認める訳がありません。万が一、IOCが東京都を憐れんで、2032年に移行させたら、私は反対運動を起こします。これまで費やした準備を全て無に帰して、10年後に初期から積み上げるなんて、冗談ではありません。

 結局、今夏の予定日程において、いかに開催するか。それとも、完全中止にするかの2つの選択しか残されていないのです。

 なお、昨年、このブログでは、何度も「無観客」なら開催できると言い続けてきました。しかし、この機に及んでも組織委員会は、経済効果と資金確保が無に帰する「無観客」について、相変わらず躊躇しています。やっと、今月になって、IOCの要請を受けた組織委員会が、しぶしぶ「上限なし」「50%」「無観客」の3つのシナリオを想定していると公表しましたが、あまりにも遅すぎます。