ロシアのプーチン大統領が、JOC会長の山下泰裕氏に「名誉勲章」を授与するとして大統領令に署名したそうです。

 理由は、山下氏がスポーツの発展に顕著な貢献をし、積極的に社会活動に取り組んだというのです。なにか今更感を覚えるのは私だけでしょうか?

 その一方で、ロシアは、いまだに、リオ五輪、平昌冬季五輪で出場を制限された、あの国ぐるみのドーピング問題【一連のロシア疑惑(2016~2017)を参照】への解決は遅々として進まず、現在も尾を引いています。

 今年1月、WADA(世界反ドーピング機関)に提出させられた、ロシア選手の疑惑のドーピング検査データに、数千の改ざんがあるとして、当事者であるRUSADA(ロシアアンチドーピング機関)の所長が、今月初旬に暴露しました。

 WADAは、 「コンプライアンス審査委員会」から、ロシアの 国ぐるみによる不正に絡む検査データの改ざんが認められたとして、RUSADAを「不適格組織」に認定すべきとの勧告を受け取ったと公表し、12月9日にパリで開く常任理事会で処分を審議するとしています。

 結果によっては、来年の東京オリンピック・パラリンピックへのロシア選手の参加は、リオ五輪や平昌五輪のように、潔癖なロシア選手だけが個人資格で参加でき、ロシア国旗・国歌を使わない「Fromロシア選手」になる可能性が高くなります。

 その瀬戸際で、ロシア大統領が、開催国のオリンピック委員会会長である山下氏に勲章を贈ろうとするのは、何か思惑や魂胆を感じざるを得ません。しかし、その思惑の有無は別にしても、山下氏は、現在の審判を受ける直前のロシアから勲章を、喜んで受けようとすべきではないでしょう。少なくとも、ロシアの国ぐるみといわれるドーピング問題が解決されるまで、留保すべきではないでしょうか。

 山下氏の勇気ある賢明な判断を期待します。