「運動部活動」に起因する諸問題(第1部)

 日本の学校制度は、いわゆる6、3、3年制度で構成され、学校における「運動部活動」は、教員の長時間労働、少子化に伴う生徒数減少を背景に様々な問題が問われています。

 したがって、日本の「スポーツ振興策」は、欧州などの「クラブ社会」と異なり、中体連、高体連等による学校制度の単位で組み立てられています。世界ではあまり類を見ない制度です。

 しかし、近年は教員の長時間労働や、少子化に伴う生徒数の減少を背景に、学校現場では部活動(運動部だけではありません)における、教員の長時間労働や少子化に伴う生徒数減少を背景に、学校の部活動の「持続可能性」が問われています。

 そのため、解決策として、部活動の運営を学校から地域の団体などに移す「部活動の地域移行」の動きが進められていますが、この動きについて、生徒の保護者らはどう考えているのだろうか。

 あるアンケート調査では、中学生の子どもを持つ保護者300人にアンケートを取って、部活動に関する考えを聞いたところ、中学校では当たり前のように行われてきた部活動だが、教員の長時間労働問題を深刻化させる大きな要因と指摘しています。さらに、生徒数の減少で、野球やサッカーなどの競技チームをつくるのに必要な部員数を学校単位では満たすことができず、複数校の合同チームとして大会に出場するケースも増えているとされ、特に、運動部だけで活動を続けることが難しくなることについて、「中央教育審議会」からは、部活動を、学校単位の取り組みから地域単位の取り組みにしていく「部活動の地域移行」の方針が示されたのです。

 運動部を管轄する「スポーツ庁」と、文化部を管轄する「文化庁」の有識者会議は、2023年度から3年間を「改革集中期間」として、まず休日の部活動の地域移行を25年度末までをメドに実現し、平日についても地域の実情に応じた移行の推進を提言していました。

 しかし、両庁がまとめた「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」では、2025年度末の“達成期限”がなくなりました。特に、パブリックコメントにおいては、「改革集中期間」は「改革推進期間」に改められるなど、達成期限に関する表現はトーンダウンしたと言われています。

 文部科学相は、23年度からの部活動地域移行の取り組みはしっかり進めるとしたうえで、達成目標時期については「議論、検討しながら進める」とし、「今現在、25年度末に終了というようなことは考えていない」と述べたと言われています。ガイドラインの当初案に対するパブリックコメントを、スポーツ庁などがまとめた「『学校部活動(中略)総合的なガイドライン(案)』に関する主な意見の概要」では、冒頭で「生徒や保護者の不安に丁寧に応え、顧問の教職員を含めた合意形成を図った上で移行すべきであって、拙速に移行するものではない。自治体としても、3年間の移行達成は現実的に難しい」という意見を取り上げています。25年度末の休日部活動の地域移行達成は、現場からも、教員以外の指導者を確保するのが困難なことに加えて、教員の“ボランティア”に支えられてきた指導を外部委託することで見込まれる保護者の負担増に対して理解が得られるのか、といった懐疑的な声があったのも事実だと公表しています。(続く)